2022年4月から改正道路交通法の施行により、運転前後のドライバーに対する酒気帯び確認が義務付けられました。

近い将来、運送業だけでなく、デイサービスをはじめ福祉車両で送迎を行う介護事業所でもアルコール検知器を使用したドライバーの酒気帯び確認が必須となるでしょう。
(現在アルコール検知器の使用義務は法改正見送りにより延期)

介護・福祉業界では利用者の通常ケア以外に介護記録の作成、請求データ、シフト作成なども行っており、このような事務作業は業務時間の多くを占めています。

上記のような現状の中、改正道路交通法の施行により更なる業務のひっ迫が予想されるため、対象の事業所は事務作業の負担削減に加え法令の対応を検討する必要があります。

今回は「介護・福祉業界」の課題と、DXツールを活用した業務負担削減のポイントについてご紹介します。

※当面の間延期されていたアルコール検知器使用義務ですが、2023年12月1日より開始すると正式に決定されました。
▶「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対する意見の募集結果について
※PDFに遷移します

介護・福祉業界の課題

慢性的な人材難

多くの分野で人手不足が悩まれる中、介護・福祉業界は特に深刻な状況にあります。
人材難の主な原因は少子高齢化ですが、介護業界では働き手の減少に加え、高齢者の増加による超過需要も問題となっています。
体力を要する身体介護や夜勤など職員一人にかかる負担も多く、肉体的負担やストレスなどを原因とする離職率が高いのも人材難の要因の一つです。

手作業と紙文化

介護業界では介護記録や計画書等、アナログな作業が多く、紙による情報管理や書類作成に時間を費やしています。
介護の現場では記録作業が重視されており、書類の記入に時間がかかる上に、もしミスがあれば再印刷が必要になるなどの手間が発生します。

DXツールの活用による最大のメリットは、こうした事務作業を大幅に効率化できる点です。
業務を効率化することで、時間の節約や業務負担の削減ができれば介護スタッフは目の前の利用者のケアに注力するなど、本来必要な業務に集中する事が出来ます。

緊急の対応が発生する事も多い

場合によっては、利用者の急な体調不良等の対応で、通常の勤務シフトとは違い、24時間対応が発生する事もあります。そういった場合における、直行直帰の車両利用においても注意が必要です。
急な車両利用にも対応できるように、遠隔でも報告と確認ができる仕組みを用意しておく必要があります。

人々のビジネス環境が変わりつつあるアフターコロナの時代だからこそできることもあります。

アルコールチェック義務化を機に身近なところから新しいシステムを取り入れ、人材不足や生産性向上といった従来の課題を改善する事が必要です。

アルコールチェック対象の事業所

事業所で使用している自動車または自動二輪車の台数が次の①または②のいずれかに該当していれば、アルコールチェックが義務付けられる対象となります。

まずは自社がアルコールチェック義務化の対象事業所なのかをチェックしましょう。

＜安全運転管理者の選任基準＞

①定員が11人以上の自動車を活用している
②業務で自動車を５台以上使用している（または自動二輪車は0.5台と計算）

訪問介護や訪問看護で職員が直行直帰で自家用車を使い、利用者宅へ訪問している場合や、大規模の施設や訪問系のサービスで自家用車をベースとして活用している事業所などが対象になります。

基本的には会社全体の車両台数ではなく、事業所単位で自動車が何台あるかを把握しておきましょう。

安全運転管理者の業務

選任された安全運転管理者は以下８項目の記録と管理が必要です。

1.　確認者名
2.　運転者
3.　車両ナンバー
4.　確認の日時
5.　確認の方法（アルコール検知器の使用の有無、対面でない場合は具体的な方法）
6.　酒気帯びの有無
7.　指示事項
8.　その他必要な事項

※下記時期は未定
・アルコール検知器を用いて、運転前後の運転者の状態を実施すること
・アルコール検知器は常時有効に保持すること

（更に詳しい業務内容、罰則についてはこちらのコラムにて解説しています。「10月より厳罰化！今さら聞けない、安全運転管理者制度って何？業務内容や罰則は？」）

業務効率化のポイント

ポイント１：クラウド型の製品を選ぶ

効率化を考慮するならクラウド型のアルコール検知器が便利です。
測定結果はクラウドへ自動送信されるため、結果を記録する手間を削減することができます。

訪問系のサービスなどで直行直帰や遠隔で点呼を行う場合も、安全運転管理者がドライバーの状態をリアルタイムで管理できるため、業務負担を抑えることが出来ます。

また、測定時にドライバーの顔写真も同時に撮影されるためなりすましの防止などの不正を防止できるサービスもあります。

ポイント２：使いやすい製品を選ぶ

アルコールチェッカーによって操作方法や操作画面は様々です。
使いにくい製品だと日々の測定でストレスを感じてしまうばかりか、職員が上手く使いこなせず介護現場に浸透しないこともあるでしょう。

折角導入したのに実際に活用されないのでは、コストだけが掛かってしまいます。
アルコール検知器を選ぶ際には使いやすい製品かどうかチェックしましょう。

無料トライアルで実際に使ってみるのもおすすめです。

ポイント３：社内ルール(マニュアル)を確立させる

「使用頻度」「管理方法」「利用場所」を一度見直し、アルコールチェックの運用フローを検討しましょう。
事業所の勤務スタイルに合わない方法で運用をしていると、定着率や業務効率が下がり形骸化してしまう可能性もあります。

習慣化させるなら「とにかく簡単で便利」

介護・福祉の現場はただでさえ人手不足で業務負担が増加している中、アルコールチェックを日々のルーティンに取り入れることはそう簡単ではないのが現状です。

だからこそ検知器はシンプルで使いやすい製品を導入し、安全管理の準備を始めましょう。
まずはスタッフに支給しているスマートフォンを活用しない手はありません。

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